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2013年 10月 24日 |

「水滸縦横談」
井波律子 (潮出版社)


(画像縮小失敗しました・・・)


どうして潮出版社から出てるのかと思ったら「[決定版]横山光輝「水滸伝」」の解説として連載されてたんですね。
途中の挿絵も横山水滸伝になってるのが珍しい。
いっそ表紙も横山光輝画伯にすればよかったのに。

内容は井波先生が水滸伝をよく知らない一般読者のために分かりやすく解説しましたものなので、特に新発見の文献が!とかこれまでにない切り口とかそういうのはないです。
いつもの井波先生です。


魯智深が杭州六和寺で成仏する部分で六和寺の写真が載ってました。
へー写真初めて見た・・・と思ったら、アタシここ行ったことあるわ。
六和寺って六和塔のことだったんですね。
(昔は塔の後ろに寺があったらしい)

確か塔に登るのが別料金だったうえにエレベーターがないと聞いて登るのをやめたんだった気がします。
魯大師ゆかりの地なら登っておけば良かったよ。
(でももう一回いってもたぶん登らないことでしょう)


林教頭も武二もあんな風光明媚なとこに眠っているとはうらやましい。


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 08月 13日 |




《水滸傳之英雄本色》
(All Men Are Brothers - Blood Of The Leopard)


なかなかおもしろかったです。
wikiによると1993年の香港映画。


しかし字幕がなかった・・・。
最初のほうにレオン・カーファイが出てきたら、周囲の人がやたらと「ベーコン」を連発してるんですよ。
何かと思ったらベーコン(臘腸 laap6 coeng4)じゃなくてラム・チョン(林冲lam4 cung1)だったってわけ。アタシの聴力なんてこんなもんねフフフ。
というわけで梁家輝が林冲です。

林冲は美人の奥さんとラブラブです。林太太はジョイ・ウォン。
林冲&林太。


林太太が高衙内に一目ぼれされて追い回されてるところを魯智深が助けてくれて、林冲と義兄弟になりました。

大師役は徐錦江。
ガムコン様が魯智深を演じてるのは知ってたのですが、三級片だとばかり思ってました。(まともな映画だったよごめんガムコン様)

酒をかっくらいながら登場する魯智深。
大師~



やっぱりハゲロバは光頭じゃないとね~



何やら失礼なコメントをして魯智深を激気させる林冲。
カーファイの声聞き取りにくいねん・・・



魯智深が林太のピンチを助けてくれて3人はお友達になりました。
男女3人ってところが香港青春映画だと思った。



義兄弟になるまでがやたらに長く、どうしても一騎打ちをしたい魯智深と、あんまりやる気の出ない林冲の噛みあわないアクションが延々と続きます。

夜中に一騎打ちをしようとしてるところへ林太が布団を持ってきてくれた。魯智深はベッドで、林冲はソファに布団を敷いて寝なさいってことらしい。
奥様だけ別室でお休みになるようです。「ケンカしちゃだめよ」と釘をさす太太。



せくすぃーな魯智深。



太太に聞こえないようベッドの中で一騎打ちする魯智深と林冲。修学旅行か?



しかし壁を破って奥様の部屋まで飛んできてしまった魯智深。
可愛い。


お風呂シーンあり。(なぜジョイ・ウォンじゃなくてこの二人なのか・・・しかも長い。誰得)


義兄弟になりました。獅子舞まで呼んで派手だった。
大哥(にいちゃん)を譲りあって揉める魯智深と林冲。
林冲がズルをして細佬(おとうと)をゲット。



ある人が林冲に名刀を贈ってくれます。
名刀の持ち主は仇五という人物でした。仇五を演じてるのは劉青雲だった!!!!
林冲と仇五はさっそく義兄弟に。この人もしかして青面獣なのかと思ったらオリジナルキャラだったようです。

急に登場して名剣をくれる仇五。



林冲と仇五はおともだちになりました。



また家が壊れた。



林冲は高俅と陸謙の罠にはまって流刑になり、高衙内はチャンスを逃がさず林太太にアタック。高衙内はギャグがすべりまくる寒いチャウ・シンチーみたいだった・・・

野猪林
「邊個敢殺我細佬呀~」と飛んできた大師カワイイ



林太太は高衙内と争ううちに死んでしまいます。
その場面を目撃した仇五は、林冲に知らせようとします。

林太の死を知らせに来た仇五は官兵に殺されちゃった・・・
劉青雲は目がすごい



アンニュイな大師



砂漠で立ってる姿は東邪さんにしか見えないカーファイ。



最後は林冲が派手なワイヤーアクションで陸謙を倒して終わり。
雪は一滴も降らなかった。



梁家輝


徐錦江



劉青雲




wikiのコピペ
演員:角色:備註
梁家輝:林沖:梁山一百單八將之一。東京八十萬禁軍槍棒教頭,生得豹頭環眼,燕頷虎鬚,身長八尺,人稱「豹子頭」,又喚「小張飛」。
王祖賢:林沖之妻
徐錦江:魯智深:梁山一百單八將之一。姓魯名達,出家後法名智深,人稱「花和尚」。
劉青雲:仇五
單立文:高衙內:高俅之義子
林威:陸謙:林沖被流放之前的朋友。在林沖誤入白虎堂而被流放之後,和富安奉高俅之命,要在燒死林沖,結果反被殺。
劉洵:高俅:宋徽宗的寵臣


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 05月 13日 |
やっと見ました。
バリー・ウォンが脚本と監督なのでコメディなのかと思っていたらギャグ映画ではなくギャング映画だった。


上海灘時代の上海のお話。黒社会とか国民党とか日本軍とか美女が敵味方になって戦う人間ドラマ。
最大のみどころは、周潤発と黄暁明が同じ人物の青年時代と中年時代を演じていることですね。
(余計な説明ですが、二人ともドラマの《上海灘》で許文強を演じたことがあります。いまとなっては隔世の感があるが黄暁明版の監督はGXXだった・・・)


國語版を見ました。周潤発の声がずいぶん若いので誰が配音してるのかとwikiを見たところ、黄暁明でした。なーんだ。自分であててるのか。
粵語版は若いときも年取ってからも周潤発の声のようです。ユンファの広東語なんてもうずいぶん聞いてません。粵語版も見てみたい。

悪役でン・ジャンユーが出てきます。
喋りだしたら声が大都督(一代目)!陳浩さんが配音担当なんですね。いい声だなあ。

サモ・ハン・キンポーの太太役が袁立だった(クレジットが袁莉になってたので気づかなかった)。
まだ若いのにすごい貫禄。今後はこういう姐御とか皇太后ばかりになってしまうのだろうか・・・


《新水滸》で青面獣を演じた高虎が黄暁明の弟分役で登場してました。
タレ目かわいいな・・・
林壊という役で「オレは林壊、壊蛋の壊だ!」と名乗ってて、なんちゅー名前だと思ったら、モデルになった人物が林懐部というようです。ダジャレか。




黄暁明は銃を撃ったあとのアゴのあげ方とか、時々ハっとするほどユンファににている。
わざと似せているのか、偶然似てるのか・・・?



作品自体は年間いちばんつまんねー映画に贈られる“金掃帚獎(ゴールデン箒賞)”にノミネートされちゃったくらいなので、まあそんな感じの映画(お察しください)でした。
私は中国映画に面白さを期待してないので、ユンファが銃をぶっぱなして、ラストに學友の歌声が流れてきたらそれで満足です。


なお第四屆金掃帚獎の受賞状況はこんなの。(wikiの丸写し)

いちばんがっかりさせられた映画:《血滴子》、《河東獅吼2》、《王的盛宴》
ノミニー:《大武當之天地密碼》、《一八九四‧甲午大海戰》、《大魔術師》、《錢學森》、《黃金大劫案》、《畫皮2》、《搜索》、《白鹿原》、《影子愛人》、《四大名捕》、《聽風者》、《銅雀台》、《危險關係》、《太極1從零開始》、《一九四二》、《大上海》、《十二生肖》

いちばんがっかりさせられた低予算映画:《瘋狂的蠢賊》、《車在囧途》
ノミニー:《稍安勿躁》、《恐怖旅館》、《繡花鞋》、《Hold住愛》、《飯局也瘋狂》、《雙城計中計》、《一夜成名》、《情謎》、《追兇》、《地域無門》、《筆仙驚魂》、《百萬巨鱷》、《十二星座離奇事件》、《匹夫》、《拳皇》、《男人如衣服》、《新媽媽再愛我一次》、《美男計》

いちばんがっかりさせられた監督:馬偉豪《河東獅吼2》、陸川《王的盛宴》
ノミニー:葉偉民《繡花鞋》、劉偉強《血滴子》、王晶《大上海》、馮小寧《一八九四‧甲午大海戰》、寧浩《黃金大劫案》、馮小剛《一九四二》、成龍《十二生肖》

いちばんがっかりさせられた俳優:小瀋陽《河東獅吼2》
ノミニー:趙文卓《大武當之天地密碼》、 任賢齊《雙城計中計》、 郭德綱《車在囧途》、 吳鎮宇《瘋狂的蠢賊》、 劉樺(《飯局也瘋狂》、《一夜成名》)、 余文樂《情謎》、 劉愷威《Hold住愛》

いちばんがっかりさせられた女優:楊冪(《大武當之天地密碼》、《Hold住愛》)
ノミニー:張柏芝(《河東獅吼2》、《危險關係》)、景甜(《影子愛人》、《新媽媽再愛我一次》)、柳岩(《二星座離奇事件》、《嫁給100分男人》)、李宇春《血滴子》、章子怡《危險關係》、陳冲《稍安勿躁》、姚星彤《十二生肖》


こんなにも全中国をガッカリさせる映画、《王的盛宴》がものすごく見たくなってきました。
映画賞と監督賞両方受賞ってすごいよね。

賞に掃帚sàozhouとついているのは掃興sǎoxìngを意味しているのかと思ってたのですが、掃帚星sǎozhǒuxīngで「周囲の人間に不幸を招く人」となるそうです。どっちの意味なんでしょうね。
香港には“金話梅電影選舉”っていうのがあるそうです。話梅(わーむい)って微妙な味わいのドライフルーツ。


《大上海》電影MV:定風波



今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 05月 09日 |
って日本官網に出てるんですけど。


(公式サイトより転載)

<全86話>で描かれる歴史スペクタクルドラマである本作が発売前に、約3870分もの本編から主要な登場人物に焦点を絞って約100分版に再編集し、 『劇場版 水滸伝』として5月25日(土)より2週間限定で劇場公開をすることを決定しました!

空前のスケールと超絶アクションを劇場の銀幕で!
テレビの画面から躍り出た英傑が大暴れします!!!

『劇場版 水滸伝』は5月25日よりユナイテッド・シネマ豊洲にて超限定ロードショー。




東京一ヶ所だけで2週間限定公開って強気なのか弱気なのか?
好評だったら関西でもやってくれるんでしょうか。


どの場面がセレクトされるのか楽しみですね。
自分だったら大画面で見たいのはどのシーンかなと考えてみたのですが

・宋江が酔っ払ってひとりでエア義兄弟の誓いを繰り返す場面
・招安が成功して梁山を引き払うことになり、宋江が大広間の戸締りをする場面
・毒酒を賜った宋江が“輸了,輸了”と苦笑いする場面

どれも黒三郎のひとり芝居の場面ばかりでした。
やっぱり張涵予が魅力的だったんですね(いまごろ気づいた)。


中国の新水滸宣伝番組に主なメンバーが登場してるのがあって、ほぼ全員が黒い服を着てました。
みんなが「私生活でも大哥のマネをしてます」と言ってておかしかった。(張涵予といえば黒服。ハンユーはドラマの収録終わってからも“大哥”と呼ばれてるらしいです)

そしたら張涵予が「梁山泊はもともと黒社会だろ」とかコメントしてて、そのときの低~~い声と渋い表情が・・・怖かった。宋江ってお人よしの小役人に見せかけてるだけで中身はホンマモンだったのね。
その一言で、ソファにずらっと居流れてる黒服のマッチョ集団もアウトレイジにしか見えなくなってしまった。



(おまけ)


「水滸伝」公式サイト」 ... 終結せよ。店名に導かれし108人の英傑たち
(↑“終結”、“店名”......囧
是“集結”、“天命”吧,感觉好像一起去有名的酒吧却已经关门,只好散会回家了)



これだっけ?いやちがう
魯豫有約 新《水滸伝》鉄漢柔情


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 04月 12日 |
【こんな本】

全六十八回 上下本。

最初の「凡例」に「この本は七十回本《水滸》の続きだ」と書いてあります。(凡例ってそういうことを書く部分なのだろうかw)

1940年代の中国には七十回本しか出回ってなかったのかな?と一瞬思ったら、そのあとに「七十回本の後日談には三種類あり、《征四寇》、《後水滸》、《蕩寇志》だ。《水滸》の古本には百回本、百五回本、百十回本などがあり・・・」とちゃんと書いてあったので、百回本etcも読まれていたようです。

張恨水は疎開先には100冊足らずの書物しか持ち出せなかったようで、《水滸》のすべてのバージョンは参照できなかったと断り書きがありました。それでも《宋史》や《金史》を持って逃げたんですね。さすが作家だ。

文体はできるだけ《水滸》に似せるようにしたが、やりすぎると現代の読者に理解不能になるので、まったくの模倣ではないそうです。なかなか上手なパスティーシュになっていて面白かった。

七十回本の続きとはいえ、魯智深の坐化や武松が片腕で敵をやっつける場面は人口に膾炙しているので、話の展開を勝手に変えることはせず、英雄好漢たちの最後はおおむね百回本と同じ。


【内容はこんなの】

七十回本の続きなので、梁山で108人聚義した夜、大宴会で酔っ払った玉麒麟・盧俊義が好漢たちが皆殺しにされる場面を夢で見て汗びっしょりで眼が覚めるところから。「男たちの挽歌」のオープニングみたい。

首尾よく招安のあと、魯智深が坊主は役人になれないと言い出して脱退。他の英雄も各地に散らばって、しばらくは個人の話が続きます。

この小説でいちばん良かったのは孫二娘。
東京で夫の張青と料理屋を経営して繁盛している。

徽宗が宮廷で「お店屋さんごっこ」を開催するというので宮中に呼ばれて、ブースを出店することに。
すると模擬店に乞食が来て食事をめぐんでほしいと頼む。
追い払おうとする孫二娘だが、考えてみれば宮中に乞食がいるはずはない。顔に泥がついているが肌は白く、耳の裏も汚れていないので(さすが孫二娘は眼のつけどころが違う!)きっと皇帝の変装に違いないと気づいて、ご馳走を椀に入れてやると、乞食は黄金をばらまいて去っていった・・・

このあと孫二娘には入宮の命令が下り、徽宗とあわやというところへ張青が!!!という展開を期待したのですが、《水滸》は女色厳禁なので、孫二娘はそのまま家へ帰りましたとさ。つまらんのう・・・


太平を謳歌していた東京の人々でしたが、金が攻め込んできます。
抗日小説なので金=日本です。
魯智深や孫二娘は金兵をバッタバッタと殺しまくりますが(・・・抗日小説ですから・・・、)多勢に無勢、張青が殺されてしまいます。
私は張青のファンなので、日本兵に殺されるのを見るのはつらかった・・・。
孫二娘も重傷を負います。魯智深が連れて逃げようとするのを、張青の遺体を捨てていけないと拒否する孫二娘。
魯智深はやむなく一人で金兵を突破して逃げます。

このあとはほとんど金との戦闘のお話。

梁山の好漢たちは果敢に戦いますが、朝廷の高官たちは腐敗してて愛国心もないので金に負けちゃいます。
徽宗は退位して臣下の張昌明(たぶん記憶違ってる)とかいう人に天下を譲ります。
徽宗が溥儀で、臣下が汪兆銘の暗喩なのかも知れません、分かりません。


孫二娘は生き延びてました。東京で曹正たちと料理店を経営しています。
「金兵に監禁された貴人に食事を運んでくれ」と依頼されて行ってみると、徽宗と皇后がみすぼらしい姿で閉じ込められていました。おいたわしや陛下。
かつて徽宗にもらった黄金をそっと手渡す孫二娘。


原作の《水滸》では好漢たちは金に圧勝しますが、張恨水バージョンではそんな都合よくはいかず、国を蹂躙されて歯噛みしながら一人ずつ退場していきます。悲しい・・・
(でも金はわが国なので悲しいとか呑気なことは言ってられない)


魯智深は史進を連れて出家できる寺を探しもとめるうち、海鳴りを聞いて成仏。
なんか唐突だったわ・・・しかもなぜお供が史大郎?

武松は金の将軍と戦って片腕を失い、宋江と別れの大酒を酌み交わしながら絶命。

宋江は敵に降伏するよう命令されて、李逵と心中。鉄牛けなげだった・・・



面白くないわけではないんですが・・・
でも恋愛小説にしてくれたら大喜びで読んだのに・・・
林冲がほとんど背景だった。張恨水は豹子頭きらいなのかな。
玉麒麟はけっこうピンで出番多かったのに。


前の記事
張恨水 《水滸新伝》 自序


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 04月 07日 |
張恨水が水滸伝の続編を書いていたのを知って驚きました。(単に無知なだけです)

冒頭に1943年の自序が掲載されてて《水滸新伝》執筆の経緯を説明してあります。
本文より自序のほうが面白い・・・でも中国式の1つのことを言いながら実は別のことをあてこすってるらしい文章でよく分からないところだらけ。

中国の歴史と文学事情にうといブログ主が自序を読んで、ウィペディアの力を借りながら理解したところを書いてみます。間違ってたら本当にごめんなさい。


張恨水は1930年から上海の《新聞報》に長編小説を掲載してました(《啼笑因縁》かな?)。
抗日戦争が始まったあと《新聞報》での連載は中断しました。
想像ですが張恨水が得意なトレンディー・ラブ・ロマンスは戦時下にふさわしくないので掲載しにくかったんでしょう。
そのうち新聞側からちょっとでも抗日っぽい小説なら掲載するからと頼まれ、1939年から南京漢奸を風刺した《秦淮世家》を書きました。(読んでないけどなんかつまんなさそう・・・)

このころご本人は上海を離れて、各地を転々としながら重慶へたどりついてたようですね。《紙酔金迷》みたい。

上海で小説を発表するなら抗日小説しか許されない雰囲気だったようです。
張恨水には不得意なジャンルだったのでしょう、1940年に路線変更して歴史小説に挑戦。
中国男児が侵略戦争で抗戦すれば上海の読者にも受けるし、「敵偽」の嫌疑も逃れられるだろうという作戦です。

北宋を舞台にして岳飛伝を書こうと決めたものの筆が進まず、資料を集めているうちに水滸伝のほうがいいんじゃないの?と思えてきました。
そこで重慶で《水滸新伝》を書いて上海の《新聞報》に寄稿するようになりました。

《水滸新伝》は上海の読者に好評だったようですが、1941年に上海が完全に敵(つまり日本)の手に落ちて連載は中断しました。
原稿はすでに第四十六回まで上海に送ってあり、手元には第四十七回の草稿がありました。友人たちにもっと書けと言われて続きを書こうかなと思っていた1942年、上海で別人が張恨水の名前で続きを連載しているとのニュースがもたらされました(・・・さすが中国・・・)

偽小説の内容までは分からなかったようです。
張恨水は敵の占領下では抗戦小説は書けないだろう、もしかして宋江たちが金(=日本)に降伏するラストになってたりして・・・と心配します。
そんなことになったら戦後自分が誤解されるかも知れないと思った張恨水は全編を書き上げたのです。


・・・そんな経緯で書かれた本だったのですね・・・
戦争中に「戦後の自分の評価」まで考えているところが中国の作家って眼光放遠だと感じました。


民国第一写手张恨水作者:刘继兴

という記事に

他的读者上有鸿儒,下至白丁。被尊为“教授之教授”的大学者陈寅恪也是张恨水的粉丝。早在西南联大之时,陈寅恪身染重疾,双目失明,他请好友吴宓去学校图书馆,借来张恨水的小说《水浒新传》,每日读给他听。


とありました。陳寅恪老師がお好きだったくらいならきっと民衆にも大好評だったのでしょうね。



今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 04月 06日 |
熱愛辮髪的列女們、お待たせしました。

《十月圍城》がテレビドラマ化され、映画版で王学圻が演じたヒロイン李玉堂をテレビ版では呉剛が演じることに決まったそうです。
恒例画像横流し


劇版《十月圍城》呉剛飾広東第一富商
写真があまりよくないのですが・・・放映に期待しましょう。
王学圻→呉剛というこの流れ・・・まさに誰得(オレ得




劇版《十月圍城》全陣容掲秘 曝選角内幕

胡東、景崗山、何佳怡も出演するそうです。
「新水滸とかぶりすぎ」とすでにネットユーザーから批判されています。《隋唐演義》も同じような感じだったわよね。





(おまけ)
王学圻は《鋼鉄侠3》でドクター・ウーちゃら言う役を演じるようですな。
悪役ぢゃないのか・・・がっかり


予告編が水管に出てました(ビンビンが出てる中国バージョンのようです)

《钢铁侠3 Iron Man 3》中国版剧场预告片 钢铁大军出战范冰冰王学圻亮相



今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 03月 15日 |
《从林冲的“折叠纸西川扇子”看《水浒传》的成书年代》という論文がネットで読めます。

林冲が「第七回 花和尚倒拔垂楊柳 豹子頭誤入白虎堂」で初登場するときに「紙の扇子」を持っている点に注目。

頭戴一頂青紗抓角兒頭巾,腦後兩個白玉圈連珠鬢環。身穿一領單綠羅團花戰袍,腰繫一條雙搭尾龜背銀帶。穿一對磕瓜頭朝樣皁靴,手中執一把折疊紙西川扇子
  那官人生的豹頭,環眼,燕頷,虎鬚,八尺長短身材,三十四五年紀。


扇子はもともと日本からの朝貢品で、(皇帝から下賜されるような)上流階級だけが持てるものだったんですって。
中国で模倣品が作られるようになってからも大っぴらには使えず、こっそり楽しんだそうです。
明代になって永楽帝が大量生産させたので一般にも普及し、文人の愛好品になり、とくに四川産の扇子は紙質がよくて高級品とされたとのことです。

この論文は上流階級ではない林冲が公共の場で扇子を持っているので、水滸伝は永楽帝以降の成立と推測されると言っているのですね。


私には、軍人である林冲が初登場のときに扇子を手にしているというのが興味深く思われました。
この日は3月28日の東岳廟の神様の誕生日のお祭りなんだそうです。いまの4月末くらいでしょうか。
たしかに原文には「三月末の暑い日(那時正是三月盡,天氣正熱。)」と書いてあるのですが、扇子が必要なほど熱くないんじゃないかな。

軍人なのに文人アイテムを手に優雅に登場する林教頭。
彼の人格の矛盾を表わしているのかもしれませんね。

今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 03月 11日 |
今日から《水滸》を原文で読みます。

読んでみようと思って困ったのが、資料があんまりないんです。
中国で出てる本も「李卓吾点評」とか「金聖嘆批評」はついてても現代人向けの注釈はあまりないらしく、たまに「參校他本,作分段、標點、注釋,對一些方言俗語、典章文物,和一些難懂的字詞都作了注解和必要的考證。」という素晴らしい本(彩畫本水滸全傳校注(全三冊))を見つけても絶版らしくて悲しい・・・※


そういうわけで、ちくま文庫版の駒田訳と岩波文庫版の吉川訳、そして水管の百家講壇 《新説水滸》だけを頼りに読んでいます。

テキストはネットからコピペしました。(だからテキストが正確なのかどうかもそもそも分からない)
この記事読んでくださるかたは「話半分」くらいのつもりでお願いします。



「第七回 花和尚倒拔垂楊柳 豹子頭誤入白虎堂」の途中から。
魯智深は女性を助けるために人を殺し、出家して東京で野菜畑の番人をやっています。
近所のチンピラを取り巻きにして楽しく暮らしている魯智深。いつものように取り巻きにカンフーを見せてやっていると・・・


(原文)
眾潑皮道:「這幾日見師父演力,不曾見師父使器械,怎得師父教我們看一看也好。」智深道:「說的是。」便去房內取出渾鐵禪杖,頭尾長五尺,重六十二斤。眾人看了,盡皆喫驚,都道:「兩臂膊沒水牛大小氣力,怎使得動?」智深接過來,颼颼的便動,渾身上下沒半點兒參差。眾人看了,一齊喝采。



■泼皮(潑皮) pō pí 流氓;无赖
■不曾 bù céng 没有,从来就没有
■器械 qì xiè 武器
■浑铁(渾鐵) hún tiě 纯铁。
■禅杖(禪杖)chán zhàng
在《水浒传》等古典文学作品中,禅杖是一种兵器,为铲的一种,佛教僧人多持之。长约五尺,通体铁制,两头有刃。一头为新月牙形,月弯处有四个小孔,分穿四个铁环,另一头形如倒挂之钟,长约7寸。尾端两侧各凿一孔,穿有铁环,柄粗寸余。禅杖两头均可使用。
■头尾(頭尾)tóu wěi 最前与最后部分
■臂膊 bìbó 手臂,上肢
■飕(颼)sōu 同“嗖”。象声词,形容迅速通过的声音
■参差(參差)cēn cī 差池;失误
■喝采 hè cǎi 大声叫好赞美。


取り巻きの“潑皮”たちはもともとこの野菜畑から野菜を盗んだり悪いことをしてました。
新任の魯智深に懲らしめられてからは禿驢の大ファンになって毎日遊びに来ています(ドM集団)。

“器械”はキカイじゃなくて武器のことなんですね。
魯智深が使う“器械”は“禪杖”。日本語訳では「錫杖」と訳されてるのを見たことがありますが、百度百科によると僧侶が持つ“禪杖”と武侠小説などに登場する武器の“禪杖”は別物だそうです。上下ともに刃がついてて、どちら側も凶器になります。

(写真は百度百科 禅杖から拝借)


六十二斤(ってどのくらい?)もある武器でポピーたちは「両腕に水牛くらいの力がなけりゃ使えないよ」と驚きます。それを魯智深はひゅうひゅうと(颼sōu颼的)動かしてみせたので、みんなが“喝采”します。
現代中国語ではあまり“喝采”って使わない気がしますが、水滸の世界では何かというと“喝采”するのです。



(原文)
  智深正使得活泛,只見牆外一個官人看見,喝采道:「端的使得好。」智深聽得,收住了手,看時,只見牆缺邊立著一個官人。怎生打扮,但見:
  頭戴一頂青紗抓角兒頭巾,腦後兩個白玉圈連珠鬢環。身穿一領單綠羅團花戰袍,腰繫一條雙搭尾龜背銀帶。穿一對磕瓜頭朝樣皁靴,手中執一把折疊紙西川扇子。
  那官人生的豹頭,環眼,燕頷,虎鬚,八尺長短身材,三十四五年紀。



■活泛 huófan 动作敏捷灵活。
■官人 guānrén 唐朝称当官的人,宋以后对有一定地位的男子的敬称
■端的 duān dì 果真;确实;果然
■皁 zào 同“皂”。黑色
■燕颔(燕頷) yàn hàn 形容相貌威武。颔,下巴。

魯智深が機敏に武器を使っていると塀の外でひとりの“官人”が“喝采”します。水滸世界では役人でなくても“官人”と呼ぶようです。

「端的使得好。」の“端的”は現代語の“真的”と同じ。
褒められた魯智深が手を止めて相手を見ると、相手の格好は・・・というのでずらずらと服装の形容が続くのですが、さっぱり分かりません。日本語訳を見てもあまり見当がつかない・・・

“豹頭,環眼,燕頷,虎鬚”って人間と思えない形容詞ですね・・・
これは《三国演義》の張飛と同じ形容で、もとは《後漢書‧班超傳》の“燕頷虎頸”から来ているそうです(とどっかで読んだ)。
年齢は34,5歳。既婚(3年)こどもはまだいません。



(原文)
口裏道:「這個師父,端的非凡,使的好器械!」眾潑皮道:「這位教師喝采,必然是好。」智深問道:「那軍官是誰?」眾人道:「這官人是八十萬禁軍鎗棒教頭林武師,名喚林沖。」智深道:「何不就請來廝見。」那林教頭便跳入牆來,兩個就槐樹下相見了,一同坐地。林教頭便問道:「師兄何處人氏?法諱喚做甚麼?」智深道:「洒家是關西魯達的便是。只為殺的人多,情願為僧,年幼時也曾到東京,認得令尊林提轄。」



■长短(長短)cháng duǎn 长度
■鎗 qiāng 同“枪(槍)”。刺击用的长矛
■厮 sī 同“厮”。〈形〉 相互
■法讳(法諱)fǎ huì 敬辞。称出家人的法名。
■洒家 sǎ jiā 宋元时关西一带男子的自称。代词。犹“咱”。
■便是 biàn shì 即是,就是。
■关西(關西)guān xī 指函谷关或潼关以西的地区。
■令尊 lìngzūn 称对方父亲的敬词
■提辖(提轄)tí xiá 官名。 宋 代州郡多设置提辖,或由守臣兼任,专管统辖军队,训练教阅、督捕盗贼。

ポピーたちが「この師匠が喝采するなら本当にすごいんですネ!」とおまいらの喝采はただのお世辞かよと突っ込みたくなるような発言をします。ここの紹介方法うまいですよね~。
魯智深が「あの軍官は誰なんだ?」と聞くと、みんなが「八十萬禁軍鎗棒教頭の林武師、名前は林冲ですよ」と答えます。みんな知ってる林武師。

魯智深が「入ってもらって会おうじゃないか」というと林教頭は塀を飛び越えて入ってきます。
“廝見”=“相見”で良いのだろうか。
ドラマの老版も新版も林教頭が塀をひらりと飛び越えてくるので、なぜ門から入らない!?と思ってたんですが、小説に“跳入牆來”と書いてあるのですね。豹子頭は身軽です。

そして、ドラマでは老版も新版もここで一騎打ちが始まるのですが、小説ではおしゃべりするだけだった。
魯智深は出会うと常に一騎打ちするのかと思ってたら、小説では獣子のときだけのようです。


まず魯智深の自己紹介。
“洒家是關西魯達的便是。”
“洒家”は関西出身男子の一人称。日本語訳では「あっし」とか「おいら」とか可愛い。
語尾に“便是”をつけるのも魯智深の特徴。

「人をたくさん殺しすぎたので僧になった」と言ってますが殺したのは一人です。
いいところ見せようとホラ吹いてみたのね。
魯智深は若いころ東京(開封)へ来て林冲の父の林提轄に会ったことがあるそうです。よくとっさに思い出せるもんだ。



(原文)
林沖大喜,就當結義智深為兄。智深道:「教頭今日緣何到此?」林沖答道:「恰纔與拙荊一同來間壁嶽廟裏還香願。林沖聽得使棒,看得入眼,著女使錦兒自和荊婦去廟裏燒香,林沖就只此間相等,不想得遇師兄。」智深道:「洒家初到這裏,正沒相識,得這幾個大哥每日相伴﹔如今又得教頭不棄,結為弟兄,十分好了。」便叫道人再添酒來相待。




■缘何(緣何)yuán hé 因何;为何。
■恰纔 qià shān 1.亦作"恰才"。2.刚刚;刚才。
■拙荊 zhuōjīng 旧时谦称自己的妻子
■岳庙(岳廟)yuè miào 五岳之神的庙宇。特指东岳庙。
■还香愿(還香願)hái xiāng yuàn 求神保佑的人实践对神许下的烧香心愿。 
■使棒 shǐ bàng 弄棒习武。
■入眼 rùyǎn 看着舒服;顺眼;看中
■荆妇(荆婦)jīng fù 对人称己妻的谦词。 


魯智深が父親に会ったことがあると聞いた林冲は(なぜか)大喜びして、すぐに魯智深と義兄弟になります。
私の勘ですが林教頭はかなりのファザコン。
魯智深が兄なのは年齢が上なのか、それともパパの知り合い=目上ということなんでしょうか。
ドラマの新版では林冲が哥哥だったので、上下どっちも楽しめる美味しい設定でした。

林教頭は奥さんと東嶽廟へお参りにきたのです。
“還香願”は日本語訳では「お礼参り」「願ほどき」になっていました。
夫婦そろって何を祈願しに来たんでしょう。ドラマの新版では林娘子はとてもこどもを欲しがっているようでしたが。



・・・このペースだと1回に数ヶ月かかりそう・・・
続きます


下一回
〔原文で楽しむ古典〕 《水滸伝》 (2) 第七回 花和尚倒拔垂楊柳 豹子頭誤入白虎堂  其二


老版は立ち回りが優雅で美しい
水滸 - 林冲 vs 魯智深








※と思ったら《水浒词典》が大陸で再版になっている。買おう。


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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2013年 02月 06日 |
「水滸伝人物事典」
高島 俊男 (講談社)

絶版なので図書館に通って読んでいます。
amazonの「Kindle化希望ボタン」クリックしときました。Kindle化されるといいな。


登場人物の紹介と登場回が載っていてとても便利。
編集者の人物評も面白い。玉麒麟はいつも利用される可哀想な人物と評されています。燕小乙がいちばん玉麒麟の旨い汁をすすりまくったと書かれていてヒザをたたきました。

原文表記も併記されているのがうれしい。
たとえば「農民」や「下男」の項目の最後に「原文では“荘客”」とあるので助かります。

人名以外にも当時の行政や軍事について詳しく書かれていて水滸伝の時代背景がよく分かります。
欲を言えば衣服や家具や建築物の説明を絵入りで入れてほしかった。武器の説明はあるのに・・・(私は武器はどうでもいいので)


高島 俊男先生は「水滸伝の用語辞典を作っている」とあちこちで書かれています。
あとはzの項目だけだが、中国語はzで始まる言葉が多いから進まないと書いておられたので、中国語のピンイン順なのかと推測しています。
きっと“荘客”も未完成のzのところに入ってるんだろうな~。

私は切実に欲しいのですが、日本で出版するのは難しいのでしょうか。
播磨まで手伝いに行くからデータ見せてください先生・・・



今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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