2010年 01月 20日 |
大人気ドラマのシリーズ4。このあいだDVD買ってきたので楽しく鑑賞してます(長いのでまだ終わってない)。

「鉄歯銅牙紀暁嵐」はあんまり日本では知られてない気がします。
オヤジばっかり出てくるし。どこが面白いのかなかなか分からないし。

私が初めて見たのはたぶん第2部のころです。すごく面白そうだけど、字幕があっても会話がちんぷんかんぷん。
しかし今回第4部を見ると、けっこう理解できるようになってました。こんな亀の歩みのような学習でもつづければいいこともあるもんだ。


外国人中国語学習者にとってヒアリングの難点がいくつかあって

・清朝の宮廷が舞台なので、皇帝や朝廷だけで使う専門用語(女房言葉みたいなの)が多くて難しい。
・登場人物はインテリが多いので、セリフも古典の引用とか文語っぽくて難しい
・北京っ子が大量に登場して、すごい勢いで北京話(べらんめえみたいなの)を喋りまくるので難しい

今から振り返ってみると、私にとっていちばん難しかったのは最後の北京話の部分かも。学校で習わない単語がぽんぽん出てくるし、北方の発音に慣れてないので聞き取れない。


でもこのへんをクリアすると(クリアするのに何年もかかってるけど)、めちゃくちゃ面白いドラマでした。


乾隆帝(張鉄林)に仕える清官・紀暁嵐(張国立)とライバルの貪官・和珅hé shēn(王剛)のバトルを楽しむドラマ。
史実やストーリーより「鉄三角」と呼ばれるタヌキ親父のドラマ仕立ての漫才を大笑いしながら鑑賞するのが目的の電視劇です。


張鉄林がとにかく私好みの顔なのですが(誰も聞いてない)、張国立の達者なセリフ回しも好きだし王剛の悪辣(文官のくせに毎回何人か殺してる)なのにお茶目で憎めないところもたまりません。

数話で1エピソードになってます。第4部でいちばん楽しかったのは、茶楼に潜入する話かしら。

鉄三角が若者の集う茶楼を探りに行くのですけど、80後や90後がうようよしてて、オヤジは入場禁止なの。やむなく使用人に変装して潜入するオヤジたち。張国立はスナック売り、王剛は茶水、張鉄林は墨をする係り(毎回必ず皇上が微服する場面があるのです。張鉄林のいろんなコスプレが見れて幸せ)。

その茶楼で、若人たちは詩を交換しあって交流するのですが、即興で対聯や詩を作れないとモテないの。みんな「平平平仄仄平平・・・」とブツブツ言ってて可笑しい。
もちろん大学士の紀暁嵐はどんな詩でもとっさに作れちゃう。このエピソードは脚本家が大変そうだな~。

皇上はちゃっかり若い娘さんたちのテーブルについて、教養のあるところを見せて大人気になったりします。娘さんたちの中に清楚な美女を見つけた陛下は、彼女に一目ぼれ。やーね、オヤジって。

でも、さいしょは軽いノリで「ぜったい彼女を後宮に入れるぞ~」とか言ってたのが、娘さんと詩をやり取りするうちに、だんだん本気になってくるところがカワイイ皇上。
娘さんに手作りの馬掛をもらって「私の母は服を手作りしてくれたことはなかった」とか同情を誘う皇上。(そりゃ皇太后は服は縫わないでしょう)オヤジ絶好調です。

中年男の打算と身勝手と純情がにじみでるようないい話でした。張鉄林のメイクの濃さにも注目です。(すごい目張りとチーク、時代劇の王道)

やはり1部から10年もたつと、皇上もずいぶんふっくらしちゃって、二重アゴに、肉襦袢かと思うような肩まわりなのですが、いいの鉄林はそれでもステキなの。
ほっそりしたうなじに垂れる辮髪も楚々とした風情がありますが、がっしり太い首に乗っかってるのも、それはそれで良いものです。





張國立与他的鐵哥們1

制作インタビューを見ると、じつは一番年下の張鉄林が他の二人にいじめられてるようです。
張鉄林が「撮影のときは薄氷を踏む思いだ」とコメントすると、張国立が「そんなことないよ、みんなリラックスして楽しく撮影してるだろ」と言い返して笑わせてくれます。

張鉄林ホントにすごい肉襦袢着てる





〈铁齿铜牙纪晓岚〉主题曲

1のオープニングかな、主題歌が渋くていいんですよね。
みなさんスリムで若い。メイクも薄い。


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2010年 01月 18日 |
陳道明主演です。
「康熙王朝」では清朝の皇帝(辮髪)を演じていたダオミンですが、このドラマで演じているのは「師爺」(辮髪)。

白水社の中国語辞典によると


師爺:
「明清時代に警察・租税・文案などをつかさどるため地方官が私的に招聘した補佐員」

紹興師爺:
「昔は師爺は紹興出身者が多かったことからこの言葉が生まれた」


日本では「紹興出身の陳道明が紹興師爺を演じている」という紹介をされてるドラマですが、百度百科を見ると

籍贯:浙江省绍兴市
出生成长地:天津

となってます。ご本人もインタビューとかで「天津で生まれ育った」と言ってるようなので、紹興は先祖の出身地ということなんでしょうね。


紹興でロケをしてるのかどうか分かりませんが、景色がきれいなドラマでした。

師爺は「東家(雇い主)」から大切にされているとはいえ、ぶっちゃけ科挙に落第したタダの人なので、プライドは高いし高給取りだけど、しょせん使用人というなかなか屈折した役どころです。

このドラマのテーマは「清官難做(清廉な官吏になるのは難しい)」「当官難、当清官更難(役人になるのは難しい、公平な役人になるのはもっと難しい)」でしょうか。
役人になるとあちこちに賄賂をばら撒いたり挨拶廻りしたりコネ作ったりで行政なんてやってるヒマないのがよく分かります。


しかし、いつ大商人になるんだろう・・・と思ったら最後までヒラの読書人だった。なんで?
あー、商人は「胡雪岩」のほうなのか。パッケージが似てるので間違って買ってしまった。ちょっと悔しい。


こんな専門用語も覚えました

下馬威風
(着任した官吏がわざと部下にきつく当たって、自分の威厳を高めようとすること)

新官上任三把火
(新しく来た役人が張り切って新しい施策を実施すること→でもすぐに既成勢力に飲み込まれちゃうの)



辮髪ネタとしては、年をとった師爺が髪が薄くなったので、帽子にニセの辮髪をつけて(「辮髪帽」とかいう名前だった)出かける場面がありました。
他人に見られるところでは、いつも威儀を正していなければいけないとかいう教訓だったかと。



しかし何だか不完全燃焼です。ちょっと地味なのよ。
宮廷のきらびやかな辮髪も見たかった・・・



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2010年 01月 17日 |
今週は「辮髪祭り」のはずだったのに「ジョニー・トー祭り」になってしまった。


「文雀」は米朝一門の話ではなく、義侠心のあるスリの一団がある女性を救うために立ち上がる話です。
スズメかと思ったら文鳥のようですね。(いま文長って変換してくれたパソコンが怖い・・・反骨・・・)


しいたげられた女性を、恋愛感情や金のためではなく、義侠心のために救う男というのはジョニー・トーの映画によくあるパターンですが、いいですね、そういうの。
そういえばラブシーンを見たことない気がするが、ストイックなところも良い。



音楽がまためちゃくちゃ良くて、2008金馬獎最佳原創電影音樂というのもうなずけます。

BGMのパーカッションが、そのまま歩行者信号のシグナルの音に変わるシーンがあって、あの信号の音、私もたぶん何百回も聞いてるのに、あれを音楽だと思ったことがなかった。頭をガーンと殴られたようなショックでした。


映像がスタイリッシュでカッコいいのに、やってることがヘンなのよ。
大勢の人が同時に同じ動作を行なう、というのもジョニー・トーの映画にはよくありますが、カッコいいけどとにかく可笑しい。

初めて「この監督ヘンだなあ・・・」と思ったのは「柔道龍虎房」のときでしたが、大量のスーツ姿の男たちがお互いに黙々と投げ飛ばしあう(柔道だから)シーンに目が点になりました。
「マッド探偵 (神探)」の7つの人格がいっせいに歩くシーンも怖いのにヘンだし、この「文雀」の全員が傘を片手にスリをし合う間違ったイギリス紳士みたいな場面も可笑しすぎ。


いままで林家棟(ラム・ガートン)が怖かった(笑)のが、この映画のおかげで怖くなくなったのも収穫。
香港映画名物「きしょくわるい女装」も久しぶりに見れたし。


ところで林熙蕾が深々とおじぎをする場面が2回ほどあります。最初は「もしかして日本女?」と思いましたが、大陸女性って設定ですよね。なぜおじぎ?
けど、何か違和感があるなーと。よく見ると足をガバっと開いて立ったままおじぎしてるんです。日本人だったら、決してこんなに足を開いておじぎはしないだろう。というかおじぎってヒザを閉じないと出来なくないですか?ヨガのポーズみたい。器用だ。



任達華"文雀"訪問 Interview with Simon Yam on Sparrow

インタビューで任達華が「もちろん脚本がないのはみんな知ってることだし」と言ってて驚きました。
最初の一週間は何の指示もなく自転車乗り回してたそうです。俳優さんってすごいお仕事。


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2010年 01月 16日 |
中国古代文学(上)は月曜日と水曜日に放送してるのですが、どうやら水曜日は再放送のようです。同じ内容を何度もやるのでヘンだと思った(早く気づけ・・・)。


けっこう以前の授業内容までさかのぼって聞けます。
建安文学はたしか10月くらいだったはず・・・と思ってサイトをみてみたら、どうやらあまりに古いファイルはダウンロードできないようです。
いま聞ける最新版は中国古代文学(上) 2009.10.19

このあたりがちょうど魏晋南北朝なので、興味のあるかたは聞いてみてください。
講師のしゃべるスピードはゆっくりなので分かりやすいと思います。中国語レベル中級の中くらいの方なら聞き取れるのでは。


3課分くらいを一度に放送してるらしく、最初は南北朝の総括、開始から45分くらいで建安詩歌の授業になります。
まず曹操の詩、次の回で曹丕・曹植です。曹操様ベタほめで楽しい。

オーソドックスに「短歌行」なのですが、いまさらですが、漢代楽府の「短歌行」って元歌残ってないんですね。(本当にいまさら・・・)残ってる最古の「短歌行」が曹操の作品ということは、曹操様が作詩しなければ「短歌行」は後世に残らなかったかも知れないのですね。
あ、でもメロディーは残ってないのか。ついでに楽譜にしておいてくれればよかったのに・・・

それと

青青子衿,悠悠我心



は、詩経から取ってるわけですが、オリジナルの「鄭風・子衿」はこのあと

縱我不往,子寧不嗣音
(たとえわたしが行かなくても、あなたはわたしを訪ねてきてね)



と続くので、ここから

「ワシは自分から探しに行かないけど、賢者は自分からワシのところへ来てくれ」
という曹公の気持ちを読み取らないといけないらしいです。これは知らなかった!
ひとりずつ探しに行く時間のない曹操様の心の叫びなのでしょう。


そして

呦呦鹿鳴  食野之苹


から後の部分は

賢才が行こうかな~でももういっぱい才人がいるから後から行ってもダメかも・・・ボクなんて要らない子かも・・・と迷ってるかも知れないが、「早く来ても遅く来ても沒關係!ちゃんと大事にするから安心しろ!」

という意味だそうです。
「早來晚來都一樣會受優待!」ってカワイイ曹操様。この老師の解釈面白い。




音声保存の方法は「極めろ!何を?中文を!」さんの「20090915 北京人民广播电台の音声を保存する」でどうぞ。





前回エントリー
中国古代文学(上)---「北京人民広播電台」
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2010年 01月 10日 |
タイトル通り唐代の人々は漢詩(というか唐詩ですか)をどんな発音で詠んでいたのか考察する本です。

中国語の音韻について、目からウロコが何枚も落ちるようなことがいっぱい書いてありました。現代中国語の学習者にも有用な本だと思います。

とにかく漢文の素養のない私、最初のほうに「江南春」の訓読が載ってるのですが、


南朝四百八十寺

って

ナンチョウシヒャクハッシンジ


って読むのですね。教えてもらわなければ「なんちょうよんひゃくはちじゅうじ」と読むところでした。

この「十」をなぜ日本語で「シン」と訓読するのかの追及がとても面白かった。べつに日本人が訛ってるとかじゃなくて、ちゃんと中国の学説にのっとって読んでるそうです。
しかし現代中国でもこの部分の「十」は普通と違う発音で読むのでしょうか・・・


こういう本は図表が理解のポイントになりますが、四声の変遷の図表がとても分かりやすい。この本のいちばんの読みどころです。

四声の研究者として陳寅恪の説が引かれてたりして、陳先生いろんな研究してるんですね。


中国語にはかつて「有声音」(日本語でいう濁音、現代の標準中国語はすべて「無声音」で「有声音」はないの)があったようなのですが、その証拠が「群」の日本語音「グン」に残ってるとか面白かった。(いまの標準中国語だと「qun」で無声音)
陳群さんの名前も有声音で発音していたのでしょうか。


最後に杜牧の「江南春」などの復元が載ってます。残念ながら発音は載ってますが音声ファイルがついてません。あとがきにユーチューブで聞けるようにしたいと書いてありましたが。待ち遠しいですね。


この本とは無関係だと思いますが、youtubeに中古漢語で唐詩を朗読してる人たちがいるのを見つけました。

私にはホーロー語に聞こえるが・・・「十」の発音とか。
「月」が「ng-」で始まっててビックリしましたが、客家とかも「ng-」なんですね・・・ちょっと方言研究にハマりそう・・・

他の人は「広東語に聞こえる(by台湾人)」とか「台湾語に聞こえる(by香港人)」とかコメントつけてる。「中国語のどっかの方言」に聞こえるってことでしょうかね。

でも最初は驚くけど、よく聞くとたしかに「將進酒」だと分かりますね。


李白 將進酒 中古漢語朗讀





もっとスゴイのは詩経の上古漢語朗読です。これは・・・イスラム語かと思った・・・

そういえば二重子音については『中国の諸言語―歴史と現況』とかにも書いてありましたが、実際に聞くと衝撃的です。

《關雎》は「レッドクリフ」で関羽が子供たちに教えてた詩ですね、映画では現代中国語でしたが。


《關雎》上古漢語朗讀




これとは別に「上古漢語歌詩経玄鳥」っていうのがアップされてて、それがどういうわけか日本語みたいに聞こえるんですよ。コメントにも日本語みたいとか韓国語みたいとかフランス語みたいって書かれてて、よく見ると作者は日本人のようです。

上古漢語でも「日本口音」って出ちゃうものなのねえ・・・とちょっとしんみりしました。


いっしょうけんめい上古漢語取得してタイムトラベルしても曹操様に「汝何有“矮國口音”邪?」とか指摘されちゃうのかしら。
(「尋秦記」の古天楽は広東語で通じてたようだが)
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