『中国の諸言語―歴史と現況』  ウナギ文
2009年 02月 14日 |
『中国の諸言語―歴史と現況』(S.R. ラムゼイ 大修館書店)を読みました。
タイトルがそっけないので損してる気がする。

1987年にアメリカで出版された本の日本語訳なのでその後変化している部分もありますが(普通話の普及状況とか)、漢語だけでなく少数民族言語まで網羅してあるのがすごいし、内容が平易で面白い。

中国に標準語が生まれるところから始まるのですが、言語学的な観点からでなく、政治的なかけひきで「普通話」や簡体字やピンインが決定されるところが興味深い。
あやうく上海話が「普通話」になりかけるくだりとかハラハラします。

標準語の省略法についての解説にこんな一文が。


東アジアの言語のもうひとつの特徴は、省略法の広範な使用である。(略)もしウェイターが何種類かのデザートをテーブルに運んでくれば、wŏshì bīngqílín 我是冰淇淋という客もいるだろう。それは文字通りには“I'm ice cream”という意味だが、この言葉が意味するのはもちろん“(What) I(orderd)was ice cream”ということである。
『中国の諸言語―歴史と現況』 S.R. ラムゼイ 大修館書店



やはり中国語にもウナギ文があるのですね。
アメリカ人に観察・記録されてるというのが面白い。


中国語の教科書ではないので、けっこう「ぶっちゃけ」なことが書いてある。そり舌音について


北京の発音の優美な特徴は捲舌音である。(略)首都以外に暮らす大多数の中国人は、普通話を話すときにこの発音を正確にはできず、多くの人はそれを模倣する試みさえしない。(略)捲舌音の区別は公式的には標準語の一部と考えられてはいるが、実際には普通話を話す人々のほとんどは、それを身につけずに何とかうまくやっているのである。



軽声について


標準語を話す南方人は、北京語の発音のうちこの部分をマスターするのに大変な苦労をする。というのは、南方方言のほとんどには無声調の音節がなく、その結果南方人には標準語の声調をあまりにもはっきりと発音しすぎるという傾向があるからである。



国民のかなりの割合が発音できない音が標準語に定められてるって、よく考えるとすごいですね。でも発音できなくても上手くやっていけるというところが、下有対策だと思った。
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