「パレードへようこそ」
2015年 05月 30日 |
前の回が終わるのを待っていたら、出てくる人出てくる人パンフ売り場へ駆けて行くので何かと思った。そして自分も見終わったあとパンフを買いに走りました。愛と手作り感あふれる良いパンフレットです。




オフィシャルサイト


コピペ開始

1984年、不況に揺れるイギリス。サッチャー首相が発表した20カ所の炭坑閉鎖案に抗議するストライキが、4カ月目に入ろうとしていた。ロンドンに暮らすマークは、その様子をニュースで見て、炭坑労働者とその家族を支援するために、ゲイの仲間たちと募金活動をしようと思いつく。折しもその日は、ゲイの権利を訴える大々的なパレードがあった。マークは「彼らの敵はサッチャーと警官。つまり僕たちと同じだ。いいアイデアだろ?」と、友人のマイクを強引に誘い、行進しながらさっそく募金を呼びかけるのだった。


コピペ終わり


ゲイの権利運動っぽい話かと思っていたのですが、私には女性の社会参加について考えさせられる映画でした。


このあいだリバイバル上映してた「リトル・ダンサー」と同じく炭鉱ストライキ時代が舞台です。

ロンドンからウェールズの炭鉱しかない田舎村に最先端のゲイの活動家がおしかけてきて、ともに戦おう!とよびかける。
田舎の素朴なおっちゃんおばちゃんたちは最初はびっくりするけど、話してみると奇抜なファッションの兄ちゃん姉ちゃんもハートはあったかくていいやつらだった。と、生活環境も思想も教育レベルもまったく異なるひとたちが親交を深めていく様子に大笑いしつつ、ほろりとさせられる。

ウェールズのおばちゃんたちがいいんですよ。
アメリカ映画だったら登場しないような個性的な容貌(婉曲表現)の女性ばかりで、ほんとに田舎くさいのですが、行動力があって芯の強い女性たち。舞台出身の人が多いのか(←パンフにもほとんど名前が載ってなくてプロフィールが分からない)、みなさんとてつもない演技力です。

なかでもロンドンのアートっぽいフラットに泊まった女性が、壁紙をなでながら
「ローラ・アシュレイだわ、カーディフで見たことがある」
とつぶやく場面。カーディフが彼女にとっての唯一の都会で、お洒落なインテリアなんかとは無縁の人生だったことがこの一言で分かるすごく上手いシーンでした。
こういう細かい場面が丁寧に描かれててみごたえがあります。


演技は本当に全員超絶に上手いのですが、なかでもビル・ナイ(大好き)は、ただ立っているだけで彼の中から人生が流れ出してくるような存在感が際立っていました。どうやったらあんなことができるのか不思議でたまらない。ほんとに立ってるだけなんですよ。

ビル・ナイが「炭鉱は自分たちの歴史だ。炭鉱がなくなれば村もなくなる」という場面があって、これまで内心「炭鉱なんて危険で汚いだけの仕事なんてやめて都会で働いたほうがいいのに、どうせ時代遅れの業界なんだから」と思っていた自分が恥ずかしくなりました。
そしてまったく無関係ながらドワーフが他の種族から暗い地下で石ばっかり掘ってとさげすまれても山を離れないのは、山こそがドワーフの文化だからなのかと気づいてこれも目からウロコです。お山がなければドワーフも存在する意味がないのですね。トールキンって意外に分かってる男だったんだな。誤解してたよごめん。



個人的にすごく驚いたのが、クライマックスのロンドンでの資金集めライブ。ブロンスキ・ビートの曲が流れてました。
あとでパンフを読んだら、このライブは実際にブロンスキ・ビートがメインで開催されたコンサートだったんですって。ライブのタイトルが「炭坑夫ちゃんと変態ちゃん"Pits and Perverts"」と強烈にしゃれがきいてていかすのです、しかも頭韻を踏んでいる。

このころのイギリスのミュージシャンってやけに労働者の連帯とか歌ってましたが、本当に炭鉱ストを応援してたんですね。数十年前の音楽シーンの記憶が、現実のイギリス労働史とやっと繋がってそういうことだったのか!!と目からウロコというか自分って何も知らずに音楽聴いてたんだなということに驚きました。

そしてエンディングで流れてきたのがザ・コミュナーズのFor A Friendだったのです。
そういえば当時のCDの解説に「友人の追悼のために書かれた曲」ってあったわ!とこれまた数十年ぶりに記憶がよみがえってきたりして。(そんなささいなことを思い出したのにも驚いた)

その「友人」というのがこの映画の登場人物なんですね、本当に実話がもとになってるんだなあ。
と、ジミくんの
As I watch the sun go down, watching the world fade away
All the memories of you come rushing back to me
という歌声を聴きながら、私もいろんな記憶がラッシュバックしてきた感慨深い映画でした。



で、イギリスって労働者が連帯してていいなと思ったすぐあとに保守党が圧勝したので、それもまた驚きです。
どこの国もきれいごとばかりじゃないんですね。


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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