〔ほび〕 部外者のためのホビット原作本紹介
2014年 08月 05日 |
トールキン部外者のブログ主がトールキン部外者のあなたのために映画「ホビット」の(というか「ドワーフ」の)原作本を紹介します。

ネタバレしています。
そして間違いも多々あると思いますが大目にみてやってください。
(一冊ずつ別々の記事にしようかと思ったんですけど面倒になったのでまとめました。
新しい本を読むたびに追加したので異常に長いです)


■The Hobbit, or There and Back Again

映画「ホビット」の原作小説。
日本語訳は「ホビットの冒険」(岩波書店)、「ホビット: ゆきてかえりし物語」(原書房)が出版されています。

映画のビルボのパートはこの原作小説にもとづいています。

平穏な暮らしを楽しむ中年ホビットのビルボ・バギンズ氏がとつぜん押しかけてきた1人の魔法使いと13人のドワーフたちに連れられて宝物探しの旅に出る物語。
ビルボの視点から彼が経験したことだけが描かれています。ドワーフの心理描写とかはありません。魔法使いの謎の行動も謎のままです。


■Lord of the Rings Appendices

「指輪物語」の最後についているものすごく長い注釈。
日本語訳は「指輪物語 追補編」(評論社)。

映画のトーリンの部分はこの「追補編」の“ドワーフの苦難の歴史”部分がベースになっています。
これを読むとドワーフにとってエレボール奪還がどんな意味をもつのか分ります。
しかしドワーフがあまりにかわいそうで、読むのがつらい。


Appendix A III Durin's Folk
初代ドゥリンからダイン二世にいたるドゥリンの一族の歴史。
カザド・ドウムの栄華と破滅、エレボールの繁栄と陥落、アザヌルビザールの惨事、貧しい流浪の生活・・・とこれでもかとばかりに降りかかる災厄。

ガンダルフとトーリンがたまたまブリーで会ってエレボール奪還に旅立つエピソードもついてます。


ドワーフの社会制度は謎につつまれていますが、ちょっとだけ解説もあります。
・女性が少ない。(ドワーフ全体の1/3しかいない)
・にもかかわらず一夫一婦制で、一生に一度しか結婚せず、女性の男前すぎる気質(結婚に興味がない、好きな相手でなければ結婚しない)と男のオタクすぎる性格(結婚よりも仕事が好き)のせいで出生率がとても低く、個体数がなかなか増えない。
・ドワーフは嫉妬深い。(他人をねたむのではなく、自分の所有物に対する執着が強い)
・フィーリとキーリはエレド・ルインで生まれた。


Appendix F I The languages and peoples of the third age /dwarves
ドワーフだけが使う秘密の言葉について解説が少し。


■Unfinished Tales 

トールキンの遺稿集。
日本語訳は「終わらざりし物語」(河出書房新社)。

The Quest of Erebor(エレボールヘの遠征)
ガンダルフがフロドに語ったエレボール探求の経緯。
同じ話が何バージョンも収められてて興味深い。

トーリンはもともと正々堂々とスマウグと合戦するつもりで仲間のドワーフたちと計画を立てていた。
そこへガンダルフが秘密の裏口から忍び込むプランを持ちかけてくる。
トーリンは魔法使いを信用しきれず、そのうえ頼みの綱のビルボがお人よしの田舎紳士なのを知って失望する。

そりゃドワーフでなくても騙されたと怒るわ・・・と同情してしまいます。
頑固ドワーフと頑固魔法使いの頑固な喧嘩が楽しい。


映画の最初のほうで「トーリンが他の部族と会議をしていて集合に遅れる」のはオリジナルエピソードかと思っていましたが、ちゃんと根拠があったんですね。


■The Silmarillion

ミドルアースの創造神話みたいなものかと。
日本語訳は「シルマリルの物語(評論社)。

ドワーフがアウレ(ドワーフはマハルと呼んでいるので私もマハルとお呼びしています)に作られたときのお話も入ってます。
以下の説明は私の理解の範疇で書いてみました(が、たぶん間違ってる)。

ミドルアースはイルーヴァタールという唯一神が創った世界です。創ったあとはヴァラール(天使みたいな存在?)に管理をまかせていました。
エルフや人間はまだ生まれていなかったが、そのうち生まれる予定だった(らしい)。

しかしマハルという職人肌なヴァラールが寂しさに耐えかねてドワーフを7体自作してしまった。マハルは言葉も作ってドワーフたちに教えようとしていたところをイルーヴァタールにとがめられ、涙ながらにドワーフたちを壊そうとする。
イルーヴァタールは哀れに思って七人のドワーフの父祖たちを許してやり、他の生き物が生まれるまで睡眠状態で待機させる。

・・・マハルっちゅうのはえらいおっちょこちょいなお方どすな・・・


マハルに壊されそうになって槌の下でぷるぷる震えてるヒゲドワーフたち。可愛い姿が目に浮かぶようです。
七人の父祖たちは最初から爺さんの姿だったのかな。
ドワーフがワーカホリックでモノづくりオタクでトンチキな性格なのはマハルの設計のせいなんですね。

しかし妻に隠れて(こんなオタクっぽいのに素敵な奥さんがいる)、夜中にヒゲおやじのフィギュアをつくって危険な遊びにふけるマハルの姿を想像すると笑ってしまう。


The Seven Fathers of the Dwarvesというからには男ばかりだと思うのですが、そのあとどうやって増えたんでしょう。初期は細胞分裂でもしたのか?それともエルフや人類と通婚したとか?


ナウグラミーアという首飾りをめぐるエルフとドワーフの確執の物語も収められています。
映画でスランドゥイルとエレボールのドワーフが不仲なのはナウグラミーアのエピソードが援用されているのでしょう。


■The Lord of the Rings

「ホビット」から60年後のミドルアースを描いた小説。
日本語訳は「指輪物語」(評論社)。

「ホビット」に登場したドワーフが何人か言及されています。


私事なのですが、初めて買った電子本がこのThe Lord of the Rings。

どうしてもAppendicesを英語で読みたい、しかし紙の本を買っても場所を取るだけで「追補編」以外は読まないのは目に見えている。紙と保管場所を節約したい。
電子本には抵抗があったのですが、スペース上の理由でついに購入しました。
予想通りAppendicesだけ読んで残りは冷凍睡眠へ。


で、数日後、実家へ断捨離しに行って押入れを掃除していたら、The Lord of the Ringsの箱入り3冊セットが新品同様の姿で出てきました。

・・・持ってたのか・・・(持ってることすら忘れていた)



■The History of Middle-earth

Kindleでvol.1が100円以下のセールになっていたのでつい買ってしまいました。
しかし1巻目は私には無関係だった。

私のほしかったvol.12.The Peoples of Middle-earthは電子本になっていないのでペーパーバックを購入。(途中で電子化に挫折したのでしょうか)

ドワーフの出てくるところだけ拾い読みしています。
「ドワーフにハゲはいない」ときっぱり書いてありました。
ドワーリンは変種か?寿命も長いしな。

ドワーフの結婚適齢期は90歳というお役立ち情報も。
トーリンはスラインパパが失踪して跡継ぎになったとき95歳。
もしかして「生活も落ち着いてきたし、そろそろ婚活を・・・」と思ってたところへ棟梁の重責がふりかかってきて婚期を逃してしまったのかと思うと可哀想です。




The Quest of Ereborはのバージョン違いはThe Annotated HobbitのAppendixにも収録されています。
「ダインが2000人派兵してくれるし、スランドゥイルも加勢してくれるかも」と皮算用するトーリンがとても可愛い。
バージョンがいろいろあると自分の好きなように組み合わせて想像できるのが楽しいところですね(違うか)。


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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