鸝と儷
2014年 04月 05日 |
《後宮甄嬛傳》 67集で皇后が妊娠した安陵容のために「請封」する場面がありました。
ここがけっこう面白かったのでキャプチャとってみました。


封号は内務府が下案を作って皇帝に選んでもらうシステムのようです。
蘇公公が持ってきたのは「粛」「文」「儷」。



雍正は甄嬛に字解きさせる。


甄嬛によると「粛」の字は
“剛德克就曰肅”
男らしいですな。



しかし“貌恭心敬曰肅”でもあるのであまりふさわしくなさそうです。
↑これはググってみたら《逸周書·諡法解》の記述だと分りました。甄嬛は周書を丸暗記してるんでしょうか!?



「文」のほうが安妹妹の性格にあってそうです。
雍正は容ちゃんは“靜默謙順,乃禮義人也”と考慮しています。
“乃禮義人也”ちゅーのは漢成帝が趙飛燕を褒めた言葉で、妖艶なダンスで男を惑わす美女の含みがあるそうですよ。



しかし「文」の文字はまた“文静有礼”で、学識豊富な人物の形容でもあるので、そんな字を選んだら安妹妹は何か勘ぐるんじゃないかしら・・・と心配する甄嬛。
安陵容は歌って踊れるアホ芸能人枠なのでしょうか???



そうすると残るのは「儷」。
“伉儷情深”(夫婦が愛し合っている)ことなので“極好”。
(関係ないけど甄嬛傳のおかげで“極好”が大流行したそうです)



雍正は「儷」に決めかけるのですが、容ちゃんは「妾侍」にすぎないので朕と“夫婦伉儷”できるだろうか、いやできない(反語)と思い直します。



面倒になった雍正は甄嬛に考えさせます。
甄嬛のアイデアは「鸝lí」。
“能歌善舞,性情又像黃鸝一樣和順”(歌も踊りも上手く、黄鸝のようにおとなしい)
・・・小鳥かよ・・・ひどいよ甄嬛・・・
黃鸝huánglíはコウライウグイスのことだそうです。



蘇公公が横から「黄鸝は子沢山なので懐妊中の安嬪にぴったり」とさらにあおったので「鸝妃」に決定。

一方「粛」「文」「儷」を提議した太監は上司に
“你們想要巴结也得知道自己巴结的是誰,該不該巴结。”(へつらう使うつもりなら相手をよく見極めろ)
と叱られて棒たたきの刑に。怖~~~~
巴结(巴結) bā jì
奉承讨好



鳥に格下げされて容児もお怒りです(そりゃそうだ)



しかし安嬪が「内務府の提案した封号のほうが良かった」と怒ったことを知った皇后もお怒りに。



「儷」の文字は皇后専用だったようです。安陵容が「儷」がいいと言ったのは僭越だったのですね。後宮ってワナだらけですね・・・




儷lìは「伉儷kàng lì」という単語でしか見たことのない漢字ですが、教養のある中国人がたまに気取って使うのを見かけるので覚えておくと頭よさそうに見えるかも。坑爹とは無関係。
ヒロインを演じる孫儷の名前でもありますね。

と思ったら日本語でも「伉儷(こうれい)」で夫婦のことを指すそうです。知らなかった・・・


俪(儷)lì
1. 相并,对偶:~词。~句。~辞(对偶的文辞。亦作“丽辞”)。骈~(文章的对偶句法)。
 2. 指夫妇:伉~。
伉俪(夫妻);俪祉(向他人夫妇祝福之辞);俪影(夫妇二人的身影;称人夫妇之合影)

鹂(鸝)lí
〔黄~〕鸟,羽毛黄色,从眼边到头后部有黑色斑纹,嘴淡红色。鸣声动听悦耳。亦称“黄莺”、“仓庚”、“黄鸟”。



(おまけ)

wikipedia中文版で「諡號」を調べると《逸周書·諡法解》が転載されてて便利です。
もっと早く知っていれば春秋戦国時代の諸侯の諡号も覚えやすかったかも知れないのに
「哀(アルバート)」は「早孤短折曰哀;恭仁短折曰哀;德之不建曰哀;遭難已甚曰哀;處死非義曰哀」。
縁起でもない封号ですね。

過去記事
春秋戦国時代の諸侯の名前が覚えられない


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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