『中国抗日映画・ドラマの世界』
2014年 02月 02日 |
『中国抗日映画・ドラマの世界』
劉文兵 (祥伝社新書)


トンデモ本かと思って読んだらとても真面目な本でした。
中国の政治状況の変化が抗日映画のストーリーに強く影響していることがよく分かります。
主に映画について書かれているので、抗日ものはほとんどドラマ(しかもごく一部)しか見たことのない私には得るところの多い本でした。


面白かったのが、中台関係の好転によってドラマ中の国民党のイメージも好転したという部分


それまで抗日映画の主人公であった八路軍の兵士または民兵は、軍服も粗末で、農民的な泥臭さが漂っており、また、完全無欠な人格者というキャラクターの設定が多く、面白さに欠けていた。
しかし、国民党の軍人ならば、人間性の複雑さや心の動揺が自由に描けるし、ドラマティックなストーリー展開も可能になる。何よりもパリっとした国民党の軍服が、当時の観客の目には、都会的でファッショナブルに映った。『女子別働隊』、『兵臨絶境』などに登場するクールな国民党兵の姿からは、一種の「軍服フェチ」の感覚も見てとれる。

変化する国民党タブー 
第三章 改革開放後の抗日映画


国民党軍がやけに格好良く撮られるのには理由があったんですね。


イケてる国民党軍の例





中国の恋愛ドラマってどうして女方が怒鳴ってばかりなんだろうと不思議でしたが、あるライターの言葉としてこんなことが書いてありました。

私がある恋愛ドラマの脚本を執筆していたときに、「恋人同士の誤解や激しい対立をもっと書け!」と製作会社から絶えず注文をつけられ、困ったあげく、「お願いだから、二人が愛し合うようになるプロセスも少し書かせて」と懇願したことがある。視聴者がチャンネルを頻繁に変えていくうちに、偶然目にした恋人同士が怒鳴りあったり相手にビンタを食らわしたりする場面に引っかかって、そのままチャンネルを買えずに観てくれることを、製作会社は見込んでいたからである。


そんな事情があったんですね。でも大声で叫ぶ女ばかり出てきてちっとも魅力を感じないのですが・・・中国の視聴者はあんなのが好きなのか?


ある著名監督が、抗日作品を作りながら、決して訪日しない理由を聞かれて、心情的な理由(現実の現代日本を見ると過去の日本を描く妨げになる)以外に

そもそも中国国内の映画市場は、ハリウッドも虎視眈々と狙っているほどの大きなマーケットである。そのため、私たちはわざわざ世界進出しなくてもいい。国内の観客のニーズに応えるだけで充分である。


と答えていました。
確かに14億人の市場があれば、国外マーケットに眼を向けなくても国内だけで充分というのは事実でしょう。
でもBBCが「シャーロック3」を中国でだけ先行放送したように、海外の製作者も中国市場を重視しています。
中国の映画・ドラマ製作者は今後海外の一流作品とパイを奪い合うことになるのに、危機感を持ってないんでしょうか?
これまでのようなつまらない作品ばかり作っていたら、視聴者は面白い海外作品にどんどん流れてしまうと思うのですが・・・


今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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