《一代宗師》 謎解き
2013年 08月 04日 |
ネットで関連記事を読んでたんですが、誰が見ても意味不明な映画なのかいろんな人が解碼に挑戦してました。けっこうおもしろかったので勝手かつ適当にまとめてみました。
監督の談話、編劇のインタビュー、知恵袋、個人の感想などが記憶の中でごたまぜで私の中国語読み間違いも多々の上ソースはすでに忘却の彼方で見つかりません。

読んでくださる方はあまり真に受けないようにお願いします。


■グランド・マスターズ
《一代宗師》の英語タイトルは"The Grandmasters"で複数になっている。
英語タイトルは「一代宗師們(武林の達人たち)」の物語であることを表している。
日本語のタイトルはどうして単数で冠詞なしなのか。複数だとマンション名みたいだから?


■武林のおしごと
武林には医者や跌打(骨つぎ)を兼職してた人が多かった。
理髪館と医者は近い職業なので、宮二は医者、一線天は理髪師になった。


■一代理髪師
王家衛がこどものころ住んでいた家の一階が理髮廳で、そこには武林の高手がたくさんいた。
当時の武林の人たちは生活のために理想と違う仕事もやらなければならなかった。


■老姜は清朝の死刑執行人だった
あの刀は首切り用ってことですか・・・


■小瀋陽はただの打醤油ではない
小瀋陽が演じた三江水(名前あったのか)は小さい流派の武術家で、宮二の流派の下請けだった。
三江水は香港へ宮二を追いかけて行ったが、落ちぶれてみかじめ料を取り立てていたときに一線天と遭遇。
一線天に怪我させられて宮二に治療してもらって甘えた(編集でカットされた)。


■趙本山はただの打醤油ではない
趙本山が演じた丁連山(名前あったのか)は1905年に東北を離れた。
1905年は北京で大臣5人に対する暗殺事件が起きた年。丁連山が反清のアサシンであることを示唆している。
4時間版には丁連山が奉天で日本の浪人を殺して出奔する場面がある。


■宮寶森が金樓へ来た理由
若いころ佛山の共和樓(金樓)へ来たのは嫖客としてではなく蔡元培の作った爆弾を運んできた。
数日後、その爆弾が清朝の廣州将軍・鳳山を暗殺した。民國が始まった場所なので共和樓と呼ばれている。放蕩の場に見えるがそこにいるのは救国の英雄たちなのだ!


参考写真《建党偉業》の蔡元培



■中華武士會
表向きは武術で国を救う団体、裏の顔は北方暗殺団。


■餅取り合戦の意味
葉問は掌を上に向けたり下に向けたりしている。
掌を上に向けるのは「陽手」で「慈悲」を表わしている。下に向けるのは「陰手」で「済度」を意味している。
葉問は「陽手」も「陰手」もダメだとわかったので「聴橋」を使った。詠春の黏手と同じく相手のパワーに逆らわずについていく方法らしい。


■葉問は東北へ行った
4時間版では葉問は東北に行っていた。しかし宮二とはすれちがいで会えない。
香港版の予告では東北火車站に二人がいるシーンがあった。
宮二が庭で練功する場面でちらっと登場するのが葉問。


■一線天が宮二の婚約者だった
宮二が庭で練功する場面でちらっと登場するのが一線天。
宮二が婚約破棄する場面でちらっと登場するのが一線天。


■張智霖が宮二の婚約者だった
宮二が婚約破棄する場面でちらっと登場するのが張智霖。職業は医者。
(この場面日本版にはなかったんでしょうか、チーラムなのかチャン・チェンなのかどっちなの)


■張智霖は役作りで20磅減量
20ポンドって9キロくらい?
結果は一瞬しか登場せず・・・


■馬三が宮寶森の葬式に旗を送ってきた理由
中国では後継者がいない家の葬儀に他人が乗り込んで喪主を奪い取る風習があった。
香盆を受け継ぐ(喪主を務める)とその家の財産をもらえるシステムらしい。
馬三は宮家には娘しかいないから自分が仕切ってあげましょう、とのこのこやってきて、宮二にピシャリと門前払いを食らわされた。


■馬三は捨て子だった
宮寶森が拾って育てて武芸も教えてやったのに恩を仇で返した。


■“老猿掛印”はダブルミーニング
「老猿掛印回首望,關隘不在掛印,而是回頭(猿が掛印して回頭して見る、要点は掛印ではなく、回頭にある)」
形意拳の「老猿掛印」の必殺技“掛印”は膝蹴りのことで、敵の胸郭を膝で蹴って殺す。しかし「老猿掛印」には“回首望月”という手もある。

このセリフには二層の意味があるが馬三には第一レベルしか分からなかった。
師父は「これ以上日本人に味方するのをやめろ、回頭(改心)しろ」と諌めた。しかし馬三は『寧可一思進,莫在一思停』と拒否する。

第二レベルの意味は、「頭をそらせろ」ってこと。
「老猿掛印」の弱点は頭部にある。八卦掌の絶招「葉底藏花」は頭部を狙ってくる。
だから八卦掌と戦う時は首をひねって逃げなさいと教えてくれたのに馬三には分からず、宮二にアゴを抑えられて殺されちゃった。


■“見自己、見天地、見眾生”は人生の3段階
老家思想らしい。自分がいちばん下で、ステップアップして最後に「衆生zhòngshēng」を見る。
私は「終生zhōngshēng」とヒアリングしてて、結婚できなくて残念ってことかなー?と思ってました(アホ)


■“眼前路”と“身後身”
詠春拳は相手との最短距離をまっすぐに進み、八卦掌は直線距離はとらずに周囲を廻って背後から襲いかかる。
前だけを見ているのが葉問。つねに回頭しているのが宮二。
最後に葉問が「宮二は自分に負けたのかもねー」とミもフタもない言い方をしてるのは、結局“身後身”を理解できなかったってことかな?


■君子之交淡如水
葉問と宮二の関係は君子之交。葉問はカンフーオタクすぎて宮二の気持ちがぜんぜん分かってなかった。宮二が目の前で告白しても葉問はポカンとしてる。


■面子(オモテ)と裏子(ウラ)
宮寶森が面子(武林統一に成功する)で丁連山が裏子(一生を暗殺に捧げる)。
葉問が面子(武術を広めるのに成功する)で宮二が裏子(一生を復讐に捧げる)。
馬三が面子(弟子をたくさん取って流派を大きくする)で宮二が裏子(弟子を取ることも流派を伝えることもできない)。
葉問が面子(武術家として有名になる)で一線天が裏子(理髪師として一生を終える)。


■“念念不忘,必有回響,拼一口氣,點一盞燈。有燈就有人。”
王家衛が見た葉問のフィルムで最も感動したのは葉問が練習中に止まるシーンだった。
葉問が止まったのは灯りをともすためだった。
灯り=武林の後継者。
宮二が佛殿で灯りをともして“就讓我看見一盞亮著的佛燈。”と語る場面ともつながってる。
いやはやウォン・ガーワイらしい暗喩っぷりですな・・・


■映画の主役は人ではなく場所
北方の建物は横に広がり、武術の門派のつながり(門外有門)を表している。
香港の何層にも積み重なったビルは武林の高手(天外有天)の象徴。


■袁和平だけが辮髪
葉問が入門する場面で師父を演じてたのが袁和平。長らくお世話になってきたが(カンフー映画で)、はじめてお姿を見た。しかも辮髪。ごちそうさま。


■武行四大忌,和尚、道士、女人、細蚊仔
うぉーそん、どうしー、ろいやん、さいまんじゃい
「さいまんじゃい」って可愛いよね(そんだけ)



張智霖揭張震拍戲練功練到得獎

チャン・チェンは香港では阿震って呼ばれてるんですね。
チーラムに武功を褒められて「モウモウモウモウ」と謙遜してる阿震が可愛過ぎる。

張智霖が「張震を突然襲ったらどんな反応するのか知りたい」と怖いもの知らずなことを言ってて笑えます。えー?って顔してる張震もおかしい。
来年の旧正月映画は理髪師を襲撃してはコテンパンに撃退される粵曲歌手の話でお願いしたい。「大英雄」のトニー&ジャッキーみたいなノリで頼む。



今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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