「水滸伝と日本人」
2013年 01月 19日 |

「水滸伝と日本人」
高島俊男(筑摩書房)


江戸時代から昭和にかけての日本での《水滸》受容の歴史の研究書。高島俊男先生の本にしてはずいぶん硬い内容です。

日本の水滸伝といっても、日本人の個人創作作品(吉川水滸伝とか横光水滸伝とか)は対象外で、原書の翻訳または翻案作品が取り上げられてます。

江戸時代に白話小説《水滸》が入ってきて、それまで「漢文」しか見たことがなかった日本人がなんとか読みこなそうと奮闘しているさまがいじらしく涙ぐましい。


最初のころは白話を訓読しようとしてるのです。
「第三回 史大郎夜走華陰縣 魯提轄拳打鎮關西」が見本として取り上げられています。かなり珍妙です。

史進慌忙身ヲ起シ礼ヲ施シ、便道官人請坐セヨ茶ヲ拝セン、那ノ人史進長大魁偉、條ノ好漢ニ相(像同)タルヲ見了、便来他與礼ヲ施ス、両個坐下ス、史進道、小人大胆、敢問官人高姓大名、那ノ人道洒家是経略府ノ提轄、姓ハ魯、諱ハ箇ノ達ノ字、敢テ問阿哥你ノ姓甚ソ麼

「水滸伝と日本人」
第四章 岡島冠山と和刻本『忠義水滸伝』



「你ノ姓甚ソ麼」って・・・
ここはウィキソースの百二十回本では

史進忙起身施禮道:“官人請坐拜茶。”那人見了史進長大魁偉,象條好漢,便來與他施禮。兩個坐下。史進道:“小人大膽,敢問官人高姓大名?”那人道:“洒家是經略府提轄,姓魯,諱個達字。敢問阿哥,你姓甚麼?”


現代中国語学習者には原文のほうが分かりやすいですね。
しかしテキストも老師もいないのに奮闘した江戸時代の人は偉かった。


全巻を原文で読むのは面倒なので先に翻訳を読みたいのですが、いろいろ出ててどれが良いのか分からない。そんな疑問にもちゃんと答えてくれる高島俊男先生。

私の理解したところでは
・版本としての価値:吉川幸次郎訳(岩波文庫、百回本)
・律儀な翻訳:駒田信二訳(ちくま文庫、百二十回本)
・読みごたえがあって訳文が良心的:松枝茂夫訳(岩波少年文庫、百二十回本)

私は岩波少年文庫を読んでみようと思います(いちばん冊数が少ないし)



せっかくですのでキャプチャを取ってきました(驢龍)











史大郎はカワイイな

今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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