どうして「真的好吃」って言っちゃうの?
2012年 09月 21日 |
時節柄、しばらくのあいだ語学ネタのみをアップしています。
ドラマや映画の記事を読みに来てくださる方はお手数ですが「こっけいせつ」以降にまたお越しください。

ゴタゴタの早期収束を祈っています。

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先日(注1)、中国人の友人からこんな質問を受けました。
「どうして日本人は“真的好吃”って言うの?誰も否定してないのに」

何のことかさっぱり分からず何度も聞き返したところ相手の言いたいことは

「日本人と食事に行くと、食べてすぐ“真的好吃”って言うけど、どうして?
自分はまずいとか否定的なことは言ってないのにどうしてそんなにムキになって美味しいって強調するの?
普通は

A:好吃(美味しい)
B:不好吃(美味しくないよ)
A:真的, 真的好吃!(本当だよ、本当に美味しいよ!)

って流れでしょ?
あと最初から“真的漂亮!”って言うのも理解できない。誰も否定してないのに・・・」

ということのようでした。

最初から“真的好吃”、“真的漂亮”と言うのはルール違反なのか???と辞書を引いてみたのでその結果をメモしておきます。


「中国語文法用例辞典」(東方書店)の“真”の項目にはこうあります。



【形容詞】
(1)本当だ
a.ふつう“的”を付けないで名詞を修飾する。
c.動詞・形容詞を修飾するときは、ふつう“的”を付ける。
我真的不想走,不骗你。
事情真的很顺利。

【副詞】
まったく、確かに:認定を強調する
真不错。
这个工厂真大。



これだけ見ても“真的”と“真”の違いはよく分からないのですが、友人の意見では“真的”を使うと強調になってしまうようです。
日本人は形容詞の“真”(+的)と副詞の“真”をごっちゃにしていて、副詞で形容詞を修飾すべきところを形容詞で形容詞を修飾してしまってるのではないだろうか・・・と思いました。

しかし、そのあと白水社の中国語辞典を引くとこんな記載があってますます混乱します。


真的
【副詞】
1.(「確かにそうである」という話し手の確認の気持ちを示し)本当に、実に、全く≒真、真是
◆“很”は客観的程度の高いことを述べるのに対して“真的”は確認の気持ちを示し、両者を共に用いる場合は“真的”が先に現れる。
要是他们真的来怎么办?
糟糕,真的迷失方向了。
事情真的很顺利。


“真的”って副詞なの?
他の辞書には“真的”が載っていないので品詞が確認できません・・・
(一冊だけ載ってたけどこれも副詞になってた)


ついでに「漢典」の説明は

真的 
确实;可靠。《三国志·魏志·崔林传》:“餘国各遣子来朝,閒使连属, 林 恐所遣或非真的,权取疏属贾胡,因通使命,利得印綬。” 宋 刘宰 《鸦去鹊来篇》诗:“且应除豁见真的,孰恃强梁敢逋负?” 清 宋学法 《张文忠公遗事》:“乃面奏主上,委曲开导,务求真的,乃可正法。”


《魏志》では私の疑問は解決しないのだが・・・


間違ってしまう理由は副詞の使い分けが出来ていないせいでしょうね。
日本語の「本当に美味しい」をそのまま直訳して本当に=“真的”にしてしまうのでしょう。でも日本語の「本当に」は「嘘ではない、真実である」という厳粛な意味ではなく、単に「すっごく」のことですよね。そもそも母語である日本語の把握が甘いのも理由かも知れませんね。



“真”にはこれまでも苦しめられてしましたが、日常会話で質問されるとは・・・意外な伏兵でした。
苦手な語法には必ずどこかで会ってしまうのでしょうか。


苦しんだ過去記事
“真”的!
“写俳句是真难的事情”はヘン? (まいにち中国語応用編 第14課)


副詞の強調程度で迷ったら“很”を使っておくのが無難なのか?というのが結論です。




(注1)
にっちゅう関係が平和だった時代の話です

今日の記事はここまでです。多謝光顧!

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