「悩ましい翻訳語―科学用語の由来と誤訳」
2010年 12月 22日 |
「悩ましい翻訳語―科学用語の由来と誤訳」


出版社/著者からの内容紹介引用
「恐竜」は誤訳である。
ベストセラー「利己的な遺伝子」等の翻訳で知られる著者が、あまたの憂うべき誤訳・迷訳の中から、49の重要用語に注目。誤りの原因を丹念に調べ、現状の混乱ぶりを描き出す。滋味溢れる博覧強記の翻訳《語》エッセイ。

いろいろ面白いうんちくが傾けられています。勉強になりました。

日本語訳の『聖書』に登場する「いなご」について。


残念ながら、厳密に言えば、これは誤訳である。英訳『聖書』ではlocustとなっているのだが、この単語は、バッタ類を指すものであって、イナゴではない。
(略)
群生相のバッタは大集団をなして移動し、その通り道にある田畑に壊滅的な被害を与える。これを中国では飛蝗(ひこう)と呼んでいる。トノサマバッタもこの仲間で、明治時代の北海道などで飛蝗の例がごく少数知られているものの、ふつう日本では群生型のバッタはめったに見られない。そのため、中国の知識を移植した日本では、「蝗」の字を、しばしば大発生してイネを害するイナゴ(稲子)やウンカ(雲霞、浮塵子)の類であると解釈した。(略)
明治時代にプロテスタント諸派が和訳『聖書』をつくるために翻訳委員会を組織したが、翻訳作業の中心メンバーの一人は、ローマ字表記の父、J・C・ヘボンだった。ヘボンが時間の節約のためにすでにあった漢訳『聖書』からの転訳をもとにしていた(略)。

イナゴ locust
「悩ましい翻訳語―科学用語の由来と誤訳」
垂水 雄二 (八坂書房)



日本の農作物で被害が大きいと言えば稲ですもんね、中国語の「蝗」が「イナゴ」と理解されたのも無理はないのでは。
でも中国の史書によく出てくる「飛蝗」ってバッタだったんですね・・・分かってるつもりで分かってない中国事情・・・

西洋の言語から日本語に翻訳された動植物名には中国経由のものもあったというのが意外でした。
なんとなく清代あたりの中国=ダメダメな国って先入観があって・・・でもちゃんと西洋文明の研究もしてたんですね。
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