『中国社会はどこへ行くか―中国人社会学者の発言』
2009年 10月 15日 |
『中国社会はどこへ行くか―中国人社会学者の発言』
園田 茂人(岩波書店)

中国の社会学者のインタビュー集。
今の中国にはいろんな研究をしてる社会学者がいるんだなーと勉強になります。
私は農民工子弟の教育問題に興味があるので、そのへんのインタビューが面白かった。

一般の日本人は「中国人なんて何を考えてるか分からない」と思ってるかもしれませんが(なんとなく世の中を見てるとそう思える)、この本に登場する学者の考え方は日本人にもおおむね受け入れやすいものなのではないかと。



しかし、かなりブっ飛んでる人もいます。
「儒教の伝統に回帰する中国?」という章に登場する康暁光氏。

近年、学歴によって収入差が広がっているが、それが将来不平等を生み出す原因になってくるのではという園田氏の問いに対して


私自身としては、これが問題になるとは思いません。
第一に、中国には文人支配の伝統があり、読書人が政治の世界に入り、多くの資源を獲得するのを当然だと見なしてきました。学歴の獲得によって、権力や資金、地位を手に入れることは、中国の文化的伝統からすれば受け入れやすいものです。

「儒教の伝統に回帰する中国?」康暁光
『中国社会はどこへ行くか―中国人社会学者の発言』 園田 茂人(岩波書店)



・・・社会主義革命って何だったんでしょう・・・
いま一番収入がいいのは中央の公務員だそうで、ますます高学歴→役人→権力という科挙みたいな状態になってるような・・・それでいいのでしょうか。康暁光氏はそれを是認しているようなのですが。


この人スゴイなーと思ったのは、共産党員にこそ儒教が必要という主張。


イデオロギーとしてのマルクス主義は生命を失ってしまいましたから。一般庶民も、共産主義の理念を信じていません。したがって、マルクス主義を前提にした統治はすでに不可能になっています。だからといって、共産党は自由主義的価値観を受け入れることはできない。となると、どうしても伝統的な価値観を利用せざるをえず、儒教は、その意味でも重要な役割を果たすようになるはずです。
将来の共産党の統治を正統化するイデオロギーは儒教しかありえない。儒教抜きに共産党の存続は不可能だと思います。

「儒教の伝統に回帰する中国?」康暁光
『中国社会はどこへ行くか―中国人社会学者の発言』 園田 茂人(岩波書店)



「レッド・チャイナが支配している世界」を舞台にした近未来SFが一時流行しましたが、儒教に回帰した共産党が統治する中国って、SFを越えてますね。


さらに驚いたのは康暁光氏は康有為の子孫だということ。あの先祖にしてこの子孫ありということなのか・・・
短いインタビューだけでは、康暁光氏の主張のすべてを知ることはできませんが、こういう考え方の人もいるのですね。


とても面白い本でしたので、現代中国に興味のある方はぜひどうぞ。
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